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人と二人でするところを一人でしているうちにローラーに巻き込まれた。この日は25人乗組員の内5名が休んで人手が不足していたことが一因である。
同じ作業で、毛羽立っていた手袋がボールローラーに引き込まれてハンドルが届かなくなって挟まれたまま上まで持ち上げられたが、この時はエアー圧のボールであったために体が巻き込まれずにはじき飛ばされた。しかし被災者の声が聞こえず速やかに停止できなかった。
また、舷側に並んでいる巻き締めローラーに扁まで巻き込まれた事故があったが船橋の漁ろう長が発見、飛び出して停止して大事に至らなかったことがある。
このような事故が年に数回起こる。ほかに、サイドローラー、ネットローラー巻き上げローラー(キリンローラー)に挟まれる事故がある。各人はそれぞれの作業に集中し漁るう長は全体を監視するが、運搬船や他船との連絡等で忙しく危険を察知できない。
レッコ船は小さくてかなり動揺する。さらに、網を開いた状態を保つために、本船を曳いて保持するが、その時、波浪とロープの張力で不安定になり、最悪の場合、転覆することもある。このため、これに乗り込む船員の災害が多い。

 

c.稚内
掛け回し沖合底曳き網漁業の聞き取り調査を行った。この業種では、近い漁場の場合には、夕方から夜間に出港し、深夜から翌日にかけて操業する。操業終了時刻は、水揚げ可能な時刻と次の操業予定によって、変動幅が大きく、午前入港と夕方入港の場合がある。前者は連続操業の場合、後者は翌日休漁の場合である。
これらは、天候、市場、陸上の水産加工業の処理能力、あるいは、漁獲見通しに左右される。最近、陸上の加工能力と氷の受給に問題があり、操業が制限されることが多くなりつつある。災害に関する経験や意見は以下のとおりである。
災害防止対策の重点は救命衣の着用とされているが、網を扱う作業は体で抱いて行うので、着用すると作業の妨げになることから、着用が普及しない。現状のタイプでは作業がせわしくないオッタートロールでは可能であるが網の扱いが複雑でせわしい作業では不向きである。ただし、合羽の内側に浮体をつけた救命衣を試着した時には評判が良かった。

 

 

 

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